自動車特定整備事業

エンジンの脱着、ブレーキの調整等はもちろんですが、昨今、自動運転技術も進化しており、自動運行装置等の取り外しや作動に影響を及ぼす恐れのある整備・改造、自動ブレーキ、レーンキープ機能に用いられる前方をセンシングするためのカメラ等の取り外しや機能調整(バンパ・グリル・窓ガラスの脱着)を行う場合、「自動車特定整備事業(分解・電子・分解+電子)」の認証を受けなければ他人名義の車の整備を行うことはできません。

残念ながら認証工場でなくても整備を行っている事業者さんも一定数は存在するようです。車の安全面からしても、このような行為が良いものでないことは明白です。

車において、進む、曲がるも重要ですが、なにより「止まる」が大事です。自動運転技術の進化に伴い、ブレーキ類、足回り類の重要な整備以外にも今後は自動運転性能等の各種センサー類の整備も重要な整備になって参ります。

法令に沿って「自動車特定整備事業」を行い、お客様に快適なカーライフを送っていただく意味でも、ぜひ「自動車特定整備事業認証(分解・電子・分解+電子)」を取得していただきたいと思います。


自動車特定整備事業の区分

自動車特定整備事業を営む上では、地方運輸局長による自動車特定整備事業の認証が必要になります。

なお、認証の区分には3つあります。

(1) 分解整備「特定整備(分解)」のみ行う事業

  • 自動車であれば、電子制御装置に関しては外部業者(特定整備:電子認証)に委託し、他の整備(従来の分解整備)のみを行う場合
  • ブレーキパット、ブレーキシューの交換
  • 自動二輪(バイク)のみ取り扱う場合等


(2) 電子制御装置整備「特定整備(電子)」のみ行う事業

  • 自動車板金・塗装業で、板金修理を行う際にセンサー付きバンパや窓ガラスを取り外す場合等で、作業後センサー等の正常性を確認(エーミング)する等
  • 自動車エアコンのガス注入をする際にセンサー付きバンパを取り外し、作業後センサー等の正常性を確認(エーミング)する場合等


(3) 分解整備および電子制御装置整備の両方「特定整備(分解+電子)といいます」を行う事業

  • エンジンの積み下ろし等のため、センサー付きバンパ等を脱着し、作業後センサー等の正常性を確認(エーミング)する場合等


 自動運転(自動運行装置)が主流となる昨今、一般的な整備工場としては、「特定整備(分解+電子)」が必要でしょう。



自動車特定整備(分解+電子)事業(認証工場)

自動車特定整備事業の認証基準として、作業場の大きさや作業機器等が必要になります。エンジンの整備を含む一般的な乗用車、最大積載量2t未満、乗車定員10人以下の認証「普通自動車(小型)」で必要なものは以下のとおりとなります。


なお、大型自動車、大型特殊自動車等の認証基準は、屋内作業場の規模等が大きくなり、二輪車や軽自動車のみを取り扱うのであれば小さくなります。


なお、屋内作業場(車両整備作業場、点検作業場、部品整備作業場)および車両置場は、同一敷地内であり、かつ、自動車が道路上(公道)を移動することがない配置でなければなりません。


自動車特定整備(分解+電子)の認証基準

・普通自動車(小型)の場合

(1) 面積に関する基準

①屋内作業場

 (イ) 点検作業場(間口・奥行・天井高要件あり)
 (ロ) 車両整備作業場(間口・奥行・天井高要件あり)

  • 間  口:4.5m以上
  • 奥  行:8.0m以上
  • 天井高さ:対象とする自動車について分解整備または点検を実施するのに十分であること(参考:作業場入口3.0m、作業場内3.2m)

    (ハ) 部品整備作業場

  • 10.0㎡以上

 (ニ) 床面が平滑である

 

②車両置場(間口・奥行要件あり)

  • 間  口:3.0m以上
  • 奥  行:6.0m以上

 (イ) 電子制御装置点検整備作業場

  • 間  口:2.5m(うち屋内2.5m)
  • 奥  行:7.0m(うち屋内3.0m) 

(ロ) エーミングに必要な寸法(車両前部)

  • 間  口:2.0m
  • 奥  行:1.0m

 (ハ) (イ)(ロ)を考慮した作業場の基準

  • 間  口:4.5m(屋内)
  • 奥  行:8.0m(屋内) 

電子制御装置点検整備作業場は、点検作業場および車両整備作業場の他、完成検査場と兼用可


(2) 設備に関する基準

  次の作業機械等の保有が必要です。

①作業機械

  1. プレス
  2. エアコンプレッサ
  3. チェーンブロック
  4. ジャッキ
  5. バイス
  6. 充電器
  7. 水準器※ 分解のみの場合要件には含まれません

 

②作業計器

  1. ノギス
  2. トルクレンチ 

 

③点検計器および点検装置

  1. サーキットテスタ
  2. 比重計
  3. コンプレッションゲージ(ガソリン用・ジーゼル用)
  4. ハンディバキュームポンプ
  5. エンジンタコテスタ
  6. タイミングライト
  7. シックネスゲージ
  8. ダイヤルゲージ
  9. トーインゲージ
  10. キャンバ・キャスタゲージ
  11. ターニングラジアスゲージ
  12. タイヤゲージ
  13. 検車装置
  14. 一酸化炭素測定器
  15. 炭化水素測定器
  16. 整備用スキャンツール※ 分解のみの場合要件には含まれません

 ※一般社団法人 日本自動車機械器具工業会

 整備用スキャンツールリスト | 一般社団法人日本自動車機械器具工業会 (jamta.com)

④工具

  1. ホイールプーラ
  2. ベアリングレースプーラ
  3. グリスガン(またはシャシルブリケータ)
  4. 部品洗浄槽

(3) 工員要件

①2人以上

②整備主任者および自動車整備士の最低要件

 (イ) 1級自動車整備士(二輪を除く)

  または

 (ロ) 1級自動車整備士(二輪)、2級自動車整備士、自動車電気装置整備士、自動車車体整備

  士のいずれかの資格を保有している者が、一定の基準を満たしている講習を受講し、一定

  の技術を習得した者

 ※ 整備主任者は他の事業場の整備主任者となることはできません


③自動車整備士保有割合(全整備工員のうち4分の1以上が自動車整備士)


自動車特定整備事業(電子)の認証基準

・普通自動車(小型)の場合

(1) 面積に関する基準

①(イ) 電子制御装置点検整備作業場

  • 間  口:2.5m(うち屋内2.5m)
  • 奥  行:7.0m(うち屋内3.0m) 

 (ロ) エーミングに必要な寸法(車両前部)

  • 間  口:2.0m
  • 奥  行:1.0m

 (ハ) (イ)(ロ)を考慮した作業場の基準

  • 間  口:4.5m(屋内)
  • 奥  行:8.0m(屋内) 

(2) 設備に関する基準

 次の作業機械等の保有が必要です。 

①水準器

②整備用スキャンツール

③その他の設備等として、ターゲット等の専用器具や整備に必要な情報について入手する方法(整備作業要領・インターネット環境等)の体制を整えていること

整備用スキャンツールリスト | 一般社団法人日本自動車機械器具工業会 (jamta.com)

(3) 工員要件

①2人以上

②整備主任者および自動車整備士の最低要件

 (イ) 1級自動車整備士(二輪を除く)

   または

 (ロ) 1級自動車整備士(二輪)、2級自動車整備士、自動車電気装置整備士、自動車車体整備 士のいずれかの資格を保有している者が、一定の基準を満たしている講習を受講し、一定の技術を習得した者

③自動車整備士保有割合(全整備工員のうち4分の1以上が自動車整備士)




自動車特定整備事業認証の必要書類

各種申請用紙は、「○○運輸支局 特定整備」で検索すると確認(出力)ができます。なお、各運輸支局において書類等に微妙な違いがあります。

基本的に下記の書類が必要です。

  1. 自動車特定整備事業の認証新規申請書 
  2. 商業登記簿謄本(法人)、または個人事業(事業主の住民票)
  3. 土地または建物の登記簿謄本
  4. 従業員名簿
  5. 自動車検査用機器器具基準適合性試験成績表
  6. (または自動車検査用機械器具校正結果証明書)
  7. 電子制御装置整備に必要な情報及び機器の入手体制の確認書面
  8. 1級小型自動車整備士の技能検定に合格していることを証明する書面
  9. (または電子制御装置整備の整備主任者等資格習得講習の終了証)
  10. 整備主任者の選任届出書
  11. (この中に作業場等の間口・奥行・面積天井高さおよび事業場平面図の記入用紙があります。平面図等は実測により作成します)

面積基準(要件)については、実測にて平面図を作成することになります。

なお、建築基準法の適用により、平穏な住宅地等、場所によっては設置できない場合があります。


■当事務所対応地域(他の地域は要相談)■

書類作成、運輸支局との調整・申請等をご依頼いただく際は、主に下記運輸支局を担当しております(その他の地域はお問い合わせください。)

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